Online Education をとってみた。
9月から12月までの間、Stanford大学が主催している Online Education で
Machine LearningとIntroduction to Databaseをとってみた。もう一つAIのコースがあり、それもとりたかったのだけど、いくらなんでも本業に支障を来たしそうだったので自重した。
概要
基本的には、ビデオレクチャを見てquizに答え、exercise を受けるという形式。ビデオレクチャは一週間分が1時間半から2時間程度。基本はflashになっていて、要所要所にクイズが入る。ぼーっと見てると、クイズで我にかえって、ちょっと戻って見直す、ということになる。
ビデオレクチャは、MP4形式でのダウンロードも可能。残念ながらiPhoneでそのまま見ることの出来るエンコードではなかったので、ffmpegで再エンコードしていた。時間がかかるので面倒なのだけど。
ビデオは、基本的にはパワポ的なスライドなのだけど、そこに説明しながら手書きでどんどん書き加えていく形式。この形式、すごくいい。iPadのプレゼンツールでこういうのできないだろうか。
エクササイズ
いずれのクラスもエクササイズがポイントで、結構大変だった。1週間にそれぞれ3,4時間は取られたのではないだろうか。
Machine learningのほうはoctaveというmathematicaもどきを使ってのアルゴリズムのコア部分のプログラミングを行う。octaveになれるまではちょっと時間がかかったけど、後半はわりに楽だった。
Database のほうは、Web越しにデータベースを使えるワークベンチが整理されていて、そこで課題を行う形式。XQueryやらXSLT, SQL, relational algebra と用意されていて、準備するほうは相当大変だったのではないかと思う。
テスト
DBのほうにだけ、2回テストがあった。Web上で2時間。出張中だったりして結構大変だった。
内容
両方共非常に分かりやすかった。いずれも非常に実践的。現実に即した例示と説明で、学生の気をそらさない、良質な授業だったように思う。私の学生時代は遠い昔だし、ろくに授業には出ていなかったのでこんな事言う資格はないのだけど、こんなに面白くはなかったように思う。
所感
内容もさることながら、授業の形式、WebをつかったOnline Educationの可能性という意味でも非常に示唆的だった。
もうひとつ、示唆的なのはどうやらサービス全体がAmazon Web Service上でホストされているらしいこと。そのおかげで安価にスケーラブルなシステムがホスト出来ているのだろう。
もう一つ考えてしまったのは、大学の役割。これほど完成度の高い授業がWebにアーカイブされていくと、大学の役割はどうなってしまうのだろう。独自に教授を雇って、授業させるよりもスタンフォードからこのコンテンツを買って、翻訳だけして流したほうがよっぽどいい、ということにならないか。もっといえば、ベネッセあたりが、スタンフォードと提携して翻訳して、サポート料をとって大学に売り込んだりしたらどうなる?学生はそちらのほうがハッピーな気がするけど、教授陣はどうなっちゃうだろう。
まあ、とりあえず、個人的にはとても面白かったし、非常に為になった。システマティックになにかを学ぶというのは本当に素晴らしいことだ、ということを再認識した。1月から3月は15講座もあるらしい。9−12月はStanfordだけだったのに、1-3月はBerkleyも加わってる。CS関係だとこんな感じ。
- CS 101 by Nick Parlante @ www.cs101-class.org
- Natural Language Processing by Dan Jurafsky and Chris Manning @ www.nlp-class.org
- Software Engineering for SAAS by Armando Fox and David Patterson @ www.saas-class.org
- Human-Computer Interfaces by Scott Klemmer @ www.hci-class.org
- Game Theory by Matthew Jackson and Yoav Shoham @ www.game-theory-class.org
- Probabilistic Graphical Models by Daphne Koller @ www.pgm-class.org
- Machine Learning by Andrew Ng @ www.jan2012.ml-class.org (Same class as current ml-class.org)
- Design & Analysis of Algorithms by Tim Roughgarden @ algo-class.org
- Cryptography by Dan Boneh @ crypto-class.org
- Lean Launchpad by Steve Blank @ launchpad-class.org
- Technology Entrepreneurship by Chuck Eesley @ venture-class.org
- Making Green Buildings by Martin Fischer @ greenbuilding-class.org
- Information Theory by Tsachy Weissman @ infotheory-class.org
注目はSoftware Engineering for SAAS。David Patterson は、ヘネパタ、パタヘネでおなじみのPatterson その人だ。全然関係ないジャンルのような気もするが、本当に頭のいい人にはジャンルはあんまり関係ないからな。
というわけで、来期はSoftware Engineering for SAAS とNatural Language Processing を取る所存。