Amazon VPC Dedicated Instances

先日のVPCの改良にさらにDedicated Instancesというものが追加された。ただし、US East と EUだけ。

なんなのか

そのユーザ専用のハードウェア上で動くインスタンス、ということ。通常のAmazon EC2インスタンスは、他の複数のユーザと一つのハードウェアを共有する。(ただし、クラスタGPUインスタンスは例外。これらは1ハードウェア上に1インスタンスなので事実上占有する。)とはいえ、仮想計算機によってisolateされているので、たとえば他のユーザからメモリを覗かれる可能性は、基本的にはない。
しかし、ちょっと気持ち悪いなーと思うユーザは多い。実際VMMにバグがあって、となりのVMから覗かれてしまう可能性が0だとは言い切れない。
ということで、でてきたと思われるのがこのインスタンス。このインスタンスを使うと、そのハードウェア上には自分以外のユーザのインスタンスがないことを保証してくれる。したがって、覗かれる心配はない、ということだ。
この機構はVPCと連携していて、VPC内にしかDedicatedインスタンスをたてることはできないようだ。理論的にはあんまり関係ないはずなので、ちょっと不思議。

値段

こういう運用をすれば、当然資源の利用効率は悪くなる。したがって単価は上がる。個別のインスタンスが高価になるのに加えて、AWSには珍しく固定費 10ドル/時がかかる。
個別のインスタンスの値段を素のインスタンスと比べると以下のようになる。ざっくり1.2倍ぐらいになっている。

サイズ 通常インスタンス 専用インスタンス
S 0.085 0.105
L 0.34 0.42
XL 0.68 0.84
High-mem XL 0.50 0.62
High-mem XXL 1.00 1.24
High-mem 4XL 2.00 2.48
High-CPU M 0.17 0.21
High-CPU XL 0.68 0.84

所感

実際には、どのハードウェアにインスタンスが配備されるのかを外部から制御することは不可能なので、狙ってあるユーザのインスタンスを隣から覗くことはほとんど不可能だろう。一方この仕掛けを使うことによる資源の利用効率低下は結構大きそう。と言うことを考えると、あんまりいいことのような気がしないが、商売上は必要だと言うことなんだろう。
実は、Amazonは常にすべてのインスタンスのメモリをのぞき見ることができるはずなので、本当に気にするならそっちだと思うんだけど、それは言わない約束、ということで。